スイスと山とドイツ語と

山行記録とドイツ語メモ by スイスの駐在妻

【山行①スイス・ツェルマット】氷河歩き ゴルナーグラート→モンテローザ小屋(山小屋泊 Monte Rosa Hütte)

どきどき!わくわく!

ついに氷河を歩く!

日本にも氷河はあるけど歩ける場所にはないから、これはスイスでしかできない!

いつ歩くの?今でしょ!笑

 (一応補足。氷河歩くのはスイス以外でもできます!が、私たちの可能性って意味で!)

概要

スタート地点:ゴルナーグラート Gornergrat 3089m

ゴール地点:モンテローザヒュッテ Monte Rosa  Hütte 2883m

時間:9:10発 16:30着

行動時間:7時間20分(休憩込み)

全行程:8.86 km、上り497m、下り730m

※行動時間と全行はガイドさんにもらった記録、上りと下りは地図で測定しました

 

おススメ度

氷河を装備・知識なしで歩くのはかなり危ないので、ガイドをつけるなりのちゃんとした準備は必要です。

その上でも興味がある!挑戦したい!という本気の方にはおススメです!

私たちは心の底から行ってよかったと感じてます。

なかなかできない経験ですし、いつまで氷河があるか、氷河の上を歩けるか分からない。(これは悲しいことですが)地球温暖化の影響で氷河は年々後退していて、スイスの氷河は100年後にはすべてなくなるとも言われています。氷河が後退することによってコースがなくなるところや、実際このモンテローザ小屋までのコースも1年前から新コースになり難易度がぐっと上がったそうです。旧コースは山行②で歩きましたが、クレバスが大きかったです。

 

ポイント:氷河!

レベル:上級 スイスの白青白(Alpinwanderwegになります。)

いつかスイスのハイキングコースの基礎編!みたいな記事書きたい

時間:4時間半

 

ゴルナーグラートへひとっとび!

ツェルマット8:05発のゴルナーグラート鉄道でゴルナーグラートへ向かいます。

備考)・Half  Fare Travelcardで29.5CHF

   ・所要時間 約40分

   ・電車の本数少なめ?(要確認)

ガスガスガス。真っ白~眺めがよければ写真をたくさん撮るところやけど、おしゃべりを楽しみながら、わずかに見える風景に目を凝らす。笑

そしてびっくりするくらい人が少ない。売店のスタッフさんと一緒。すかすかです。ちょうどこの日からスイスのほとんどの州で夏休みが終わって学校スタートの日なので、観光客も減ったそうです。コロナやし、アジアとかからは来ないしね。

 

ゴルナーグラート近くになると雲を抜けそう。今日はどうやら雲が2層になっていて、1層目を抜けたようです。

モンテローザヒュッテまではローテンボーデンからのコースが定番ですが、私たちがツェルマット初ということで、せっかくだから展望台もいきたいでしょう、ということでガイドさんがこちらのコースを選んでくれました。あと、ローテンボーデンからは中級コース(スイスの白赤白 Bergwanderweg)スタートですが、ゴルナーグラートからははじめから上級コース(スイスの白青白 Alpinewanderweg)なので下りが急。意外と消耗するので若くて筋力ある方にはどうぞだそうです。

ゴルナーグラートでトイレを借りて、少し売店やレストランを見学、展望台で山の名前を教えてもらったり、準備体操していたら雲が取れてきてマッターホルン見えた!ちょっと惜しいけど!

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ゴルナーグラートの展望台から

いざ出発!気合十分。ここをスタートしてから氷河に入ったのが10:30くらいなので1時間20分かけて氷河に向かいます。途中でシュタインボックをみたり、お花のお話したり、のんびりのんびり。たしかに上級コースの下りだけあって、急ではあったけど、道はしっかり整備されているので分かりやすかった。写真にちらっと轍がみえるけどそこまで下りました。下った先の轍の部分は中級コースになります。ローテンボーデンからのコースと合流。下りきってから見上げるとゴルナーグラートだいぶ上。ここは上りたくないかな。笑

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左からゴルナー氷河・モンテローザ・リスカム・グレンツ氷河。

ちっさくモンテローザヒュッテも!

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左)崖の上にシュタインボック(ハイジに出てくる大角のダンナ!)

右)しばしの中級コース

中級コースはほぼ平坦に感じる。そしていよいよ氷河か~と緊張感。氷河に入ると隠れるとことがないから、その前に”お花摘み”。この情報要る?笑でも後顧の憂いなく氷河に臨みたいやん!(スイスの山トイレ事情はいつか書けるといいな)

 

いざ氷河へ!!

ゴルナーグラート展望台で氷河を見た時の感想「立派!グリンデルワルドでも感動したけど、もっと近い!そしていまからここへ行くのか~」

氷河を目の前にした時の感想「これが氷河の入口?思ってたんと違う見た目や!」

 

常識かもしれんけど知らんかったもんで、こんなへんてこりんな感想です。白!氷!みたいなのをイメージしてたけど、土砂や石、おっきめの岩なんかも乗ってて、茶色でした。いつから氷河に乗ってるかは分からんけど氷河横の山から崩れて、一緒に移動するそうです。(へぇ~!笑)でももちろん氷河への第一歩は大事に踏み出しました!

そしてもちろんイメージしていた氷河!なところもあります!右の写真、、、なんかモードダイヤルずれてたかな?アートモードとかなってたかも。

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左)氷河入るよ!茶色! 右)イメージしていた氷河って感じのところ

氷河の上は絶対にアイゼンつけるわけではなくて、左の写真みたいに上に石があると凹凸があるので登山靴のままでも歩けます。しっかり踏みしめて歩きます。ガイドさんの指示で少し登山靴で歩いてからアイゼンとハーネスを装着。(ハーネスは使うかどうか分からないけど、必要なところはきっと足元不安定で、そこでつけるのは大変やから事前につけます。ザックに荷物として入ってるより軽く感じるしね!笑)

初アイゼンは楽しかった!すごいしっかり刺さって、かなり安定して歩ける感じがした!アイゼンすごい!アイゼンへの信頼感・安心感がかなりあります。

そして徐々にクレバス渡りが小さいのから大きいのにレベルアップ。わりと緊張しながらまたいでいきます。汗

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クレバス注意

クレバスは氷の割れ目。ここに落ちたら100%ではないけど死んじゃいます。見た目では分からない深さがあるし、怖い怖い。今はクレバスが”ここにあるで~気をつけや~”と丸見えで訴えてきますが、シーズン初めやったり、雪の後や本気のアルプスだと見えないクレバスもあるそうです。

写真には映ってないけどポールがあって、そこが基本コース。このポールを目印に歩きます。けど氷河は流れているのでコースも変わるし、クレバスのどこなら渡れそうとか先読みする力も必要。正直ポールは見つけれても、え?あそこまでどうやって行くんや?ってなりました。さすが上級コース。私たちはガイドさんにひたすらついていく。ホント自分たちだけじゃ絶対に歩けない。

氷河を歩くこと〇時間(時間不明。笑)氷河部分が終わるとガイドさんからアイゼン外していいよの指示と休憩タイム。町のパン屋で買ったパンでランチ。

そのあとは岩のごろごろしたコースを進みます。色んな岩があっておもしろい。足元には気を付けながら、でも次はここに足を置こうとかアスレチック感覚で私はこういう道好き。あと、岩に苔が着いてるところはそこに岩がやってきて何年も経っているということ。つまり安定していて落石の心配もほとんどしなくていいと教えてもらいました!なるほど!

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左)大岩の道 右)岩に歩きやすいように足場が作ってあります

モンテローザヒュッテが近くに見えるけど、なかなか到着しない。笑ニセピークではないけど、ここ回り込めばヒュッテかな?まだあるんかーい!っていうだまし討ちに会う感じ。あともうちょっとを繰り返し、ついにモンテローザヒュッテに到着!本日の山行完了!

結局コースタイムよりだいぶかかったけど、色々写真撮ったり、教えてもらいながらゆっくりのんびりとしたペースでのよい山行でした。アイゼン初めてで足に重りをつけて歩く感じやし筋肉痛にはなりそうやけど(翌朝筋肉痛でした)、疲労困憊にはなってない。ガイドさんが私たちのレベルを見極めて、安全に疲れずにいけるペースで歩いてくださったおかげ。ありがたや~

ゴールを目前にここでこけんといてや!着いてからも、小屋内の階段とかで足挫かんようにと細心の注意を払いました。到着の安心感から気が抜けて、なんてことないところでケガとかありそうやから。それくらいうれしかったし安心したってことな!

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モンテローザヒュッテ

モンテローザヒュッテはすごい近代的!まわりの景色とのミスマッチ感がおもしろい。モンテローザヒュッテのことは別で書くことにします。

ちなみに夕方の到着時はこの景色でマッターホルンは雲に隠れてるけど、青空も出てるし、夜には星空見れるかな~と期待してました!しかし!!私達夫婦の雨を呼ぶパワーのおかげでガイドさんもびっくりの雨。笑満点の星空はまたもやお預けでした。もはやスイスの山小屋3回目で3回とも雨に遭遇するとは逆にすごいかもしれない。

 

今日の出来事 スイスの山岳救助ヘリ

岩の道をひょいひょい歩いてると岩の上におじちゃんとおばちゃんが。はじめは眺めいいところやしひなたぼっこでもしてるんかなと思って「ハロー」と挨拶したら、どうやら様子がおかしい。おばちゃんが足を挫いてしまって立てないそうです。

私たちのガイドさんが対応するのでしばし待機。イギリス人の夫婦で救助の呼び方が分からなくて、20代の子ども二人をヒュッテに行かせてるとのこと。歩けないならヘリコプターを呼んだ方がいいよと番号を教えて、途中でガイドさんに代わってどこにいるのかを詳細にお伝え。救助要請が無事に済んだので、先へ進みます。ほどなくヘリコプターの音がして、よかったと安堵。はじめて山で救助を呼ぶようなケガと遭遇して、やっぱり山はこわいな~と思いました。

たまたまプロのガイドさんと同行してたからいいものの(きっと自分たちだけやったら手伝いたいけど何もできひんし、調べる?ってあたふたしたと思う)、

たまたまあの夫婦もガイド付きの私たちが後から通りかかったからヘリも呼べて、場所も正確に伝えることができたし、

たまたま天気もよかったから待つ間も風雨で冷えて寒いという状況にもならず、

ホントに色々なたまたまが重なってケガしたことは大変やけど、その中でも最善の対応になったのではないかと思う。

(翌日談)朝食時に分かったことやけど、結局子どもたちは1泊して、自力で下山になったそうです。そしておばちゃんは足首の骨折だったそうです。涙

”先に行って救助呼んできて”の状況での山は焦るし緊張もするから子供たちはすごい心境で歩いたんやろうなと思う。

色んなことを考えた出来事でした。そして、その夫婦と別れてからの後はより一層の注意を払って歩きましたとさ。山はホントに何があるかわからない。

 

2020.9.11更新)岩の道の写真を分かりやすくしました。文章の手直し。